書誌詳細情報
聞き書き 伝統建築の家

書誌詳細情報
聞き書き 伝統建築の家
この本のジャンル
解説
土搗きをし、礎石を置き、その上に柱を立て、木舞をかき壁土を塗る茅葺きの日本の伝統的な木の家。法隆寺棟梁の西岡常一氏が「300年は持つ」と語ったその伝統工法の家がどんどん失われている。建築基準法からその工法が除外されているため、新たに伝統工法の木の家を造ることはできないからだ。そうした中、伝統工法にこだわり、300年たって傾いた建物を直す大工、顔が映るくらい漆喰壁を磨く左官、石の重心を知り積み上げる石工、古民家を解体して再生する職人など、奇跡とも言える技を持つ人びとからの貴重な聞き書き
著者
原田紀子(はらだ・のりこ)1948年埼玉県生まれ。東京大学理学部卒業。元国立科学博物館勤務。伝統建築愛好会「浦和宿けやきの会」主宰。著書に人間選書『西岡常一と語る 木の家は三百年』(1995年)、同『伝統技法で茅葺小屋を建ててみた』(2008年)
目次
第1章 伝統工法で家を造る
1 伝統工法にこだわる 大工 星清信さん
2 昔の家を移築して技を学ぶ 大工 嶋澤恭雄さん
3 石の重心を知り積み上げる 石工 小松総一さん
4 土壁の小舞は百年たっても大丈夫 小舞 弘田充さん
5 風雨に強い白壁で仕上げる 左官 服部文明さん
6 棟のゆがみを見つけるのが大事 瓦屋根 小林弘昌さん
7 人間の感覚だけでできていくのが茅葺き屋根 茅屋根 松木礼さん
8 家を曳くだけではない曳き屋の仕事 曳き屋 山崎浩三さん
9 古民家を解体して再生する 解体 丸山勇人さん
10 自分の思うままに伝統建築を建てたい 大工 菊地俊男さん
第2章 伝統工法の素材をつくる
1 山に木を残す持続型森林経営 林業 橋本延子さん、橋本忠久さん
2 林業で馬の価値を高める 馬搬・材木販売 岩間敬さん
3 山から馬で材木を曳き出す 馬搬 菊池盛治さん
4 土佐漆喰は石灰岩を石炭と塩で焼く 漆喰 北村富男さん
5 国産漆を採取する 漆掻き 佐藤春雄さん
6 漆を植え、採り、塗る 漆工芸 臼杵春芳さん
7 快適な畳は藺草の栽培から 藺草・畳表 山浦義人さん
8 湧き水と雪がつくる上質な障子紙 内山紙 阿部一義さん
第3章 伝統工法の家に住む
1 茅屋根を自分で補修 農業 坂口純一さん
2 榧(ルビ:かや)の柱を生蝋(ルビ:きろう)で毎年磨く 民宿 修行貞さん
3 世界遺産の五箇山に住む 民宿 中田博美さん
4 原発事故を機に長屋門で暮らす 木工 早田修さん
5 雪国で茅葺き屋根の家を守る 料理屋 南雲直子さん
6 原発事故に遭遇した先祖代々の家 食品製造 高橋トク子さん
第4章 伝統工法の家を手入れする
1 表具には紙も糊も十年かける 表具 原田英一さん
2 襖は何回も紙を貼って仕上げる 表具 原田一彦さん
3 なめらかに動く建具で快適に 木工 那須野利雄さん
4 黒ずんだ材を洗って元の美しさに戻す 灰汁洗い 山下正春さん
5 漆は器だけではなく建物にも塗る 漆工芸 松原慎吾さん
6 古い家にふさわしい畳をつくる 畳 本間駒吉さん
7 白蟻に喰われた材を新しくする 大工 嶋澤章さん
8 水の流れを知り雨漏りを防ぐ 板金 大熊誠三さん
9 昔の家でも便利に電化 電気 清野勝範さん
解説(詳細)
【関連書籍】
「萱(かや)」
「図解 誰でもできる石積み入門」
「絵でつづる 塗り壁が生まれた風景」
「日本茅葺き紀行 Exploring Japanese Thatch★05/23発売予定」