書誌詳細情報
現代に生きる 大蔵永常

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現代に生きる 大蔵永常
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- 農文協 公開書誌 >> 教養書 >> 民族・歴史・文化・紀行
解説
豊後国(現大分県)日田に生まれ、諸国の農業を見聞しながら、『広益国産考』『農具便利論』など膨大な農書を公刊した大蔵永常は、「江戸時代唯一の農業ジャーナリスト」と呼ばれている。永常は当時の米偏重の政策には頓着せず、商品作物と加工の奨励を軸に農民の「利」を徹底的に追求した。その足跡をたどりつつ、永常の実践哲学が現代の日田で生まれた大山の農業革命の牽引者・矢幡治美にどう引き継がれたかを描く。小量多品目栽培と六次産業化論の原点は江戸期にあった! 今村奈良臣さん(東大名誉教授、六次産業化論の提唱者)推薦!
著者
1932年大分県日田市に生まれる。1961年広島大学大学院教育学研究科博士課程修了。大阪市立大学助教授、広島大学教授、比治山大学学長などを経て、広島大学および比治山大学名誉教授、教育学博士。「産業教育史学研究」(風間書房、全13冊)により2014年度日本産業教育学会細谷賞(学会賞)。著書『日本のエンジニア教育――日本とイギリスのちがい』(1983年、中公新書)、『商売往来の世界―日本型「商人」の原像をさぐる』 (1987年、NHKブックス)、『日本の女性と産業教育―近代産業社会における女性の役割』(2000年、東信堂)、『渋沢栄一と日本商業教育発達史』(2001年、風間書房、=「産業教育史学研究」として全13冊刊行)、『日本の産業教育―歴史からの展望―』(2016年、名古屋大学出版会)ほか多数。
目次
序章 天領日田の精神風土
第一章 旺盛な著作活動
1 「まめろしい」男
2 農業分野をこえて多岐にわたる著作物
3 著作物を分類し直してみると
4 生涯の集大成としての『広益国産考』
5 宮崎安貞との共通点と相違点
第二章 永常農書は何のために書かれたか
1 飢饉の惨状と救荒の思い
2 農民を「利」へいざなう
3 「売れる」本を目指し、ビジュアルに
4 著述家として生計を立てるために
第三章 農業技術をどう伝えるか
1 農民の「自主性」への期待
2 「地頭」のお世話
3 「老農」が模範を示す
4 働く女性の位置づけ
第四章 農書から拡張するジャンル
1 「農書一三種」の構想
2 百姓・町人の心得を語る「子育て書」
3 日常の読み書きを助ける「簡易書簡書」
4 勧善懲悪のエピソードを集める「教訓奇談書」
5 コメ不作に備える「飢饉対処書」
6 民間療法を集成する「薬方書」
第五章 技術論と道徳論の乖離をどうみるか
1 技術論の先進性
2 道徳論の保守性
3 「体制」の中の農民像
4 百姓の「学問」不要論
5 石門心学との関係
第六章 広益国産考の近代性
1 明治に残った永常農書
2 永常農書の科学的合理性
3 永常農書の経済的合理性
4 研究者によって分かれる評価
第七章 現代農業に生きる大蔵永常の精神
1 日田の矢幡治美――「ウメ・クリ植えてハワイへ行こう」
2 大山の農業革命――少量多品目生産への転換
3 高次元農業の展開
4 農村の人づくり
5 その後の曲折
6 大蔵永常と矢幡治美をつなぐもの
終章 「農業商賈」としての大蔵永常
推薦の言葉 現代そして未来に引き継がれる永常の思想と実践 今村奈良臣
付録:日本農書全集に収録された大蔵永常の作品紹介
人名索引
解説(詳細)
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