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菌根菌の働きと使い方

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菌根菌の働きと使い方
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解説
菌根菌(VA菌根菌、AMF菌根菌)は、枯渇する資源、とりわけリン酸不足を補う微生物として脚光を浴びている。しかし、単純に菌根菌を資材として加えればいいというものではない。著者は、菌根菌がその力を十分に発揮するには、パートナーとなる作物、そしてパートナー微生物(細菌)が存在することを明らかにし、菌根菌を農法として定着させていく道筋と、現場での菌根菌活用実践事例を通じて、化学肥料と農薬に依存しながら進められた「偽の緑の革命」から、菌根菌とそのパートナー細菌で「真の緑の革命」を訴える
著者
石井孝昭(いしいたかあき)
京都府立大学大学院生命環境科学研究科教授。肥料および農薬を前提とした「緑の革命」の限界が明らかになり、環境への負荷が小さい持続的農業が求められる今、菌根菌およびパートナー細菌を活かす農業こそ未来を拓くと、「真の緑の革命」に向けて、日本だけでなく「菌根菌」農法普及に世界中を飛び回る。
目次
●第1章 共生微生物と菌根菌の世界
1.共生微生物とは、菌根菌とは
2.なぜ植物は共生微生物を必要としているのか
3.菌根菌、特にアーバスキュラー菌根菌(AMF)の秘密
4.AMFとVA菌根菌
5.黒潮に乗って世界のいたるところへ
6.マングローブ内の植物、海草にも感染するAMF
7.土壌中に張り巡らされたAMFネットワーク
8.今、なぜAMFへの注目があつまっているのか-菌根菌は「生物肥料」
●第2章 作物生産に菌根菌、特にAMFの力を借りて
1.根の周りにAMFリッチな環境を作り出す-植物へのAMF接種とその注意点
2.簡便な植物の栄養診断と有機液肥での葉面散布の有効性
3.菌根菌生長促進物質の活用
●第3章 菌根菌、特にAMFとパートナー細菌を活かす土壌管理法、病害虫防除法
1.土壌の理化学性の改善方法
2.土壌改良資材の利用方法
3.AMFとパートナー細菌を活かす有機物の利用
4.有機物施用の注意点
5.スギ、ヒノキなどの樹皮とおがくずの利用
6.イネ科植物の不思議な力
7.単作とパートナー植物を用いた混作、間作
8.草生管理と土壌微生物
9.おもしろいナギナタガヤ草生法
10.パートナー植物の探索と病害虫防除・抑草・施肥利用
●第4章 菌根菌とそのパートナー細菌を活かす農法
1.菌根菌、特にAMFとパートナー細菌の接種方法、ならびに使用の注意点
2.水稲の場合
3.果樹、特にカラタチおよびマカダミアの場合
4.野菜の水耕栽培の場合
●第5章 菌根菌と遺伝子組換え作物、そして菌根菌の純粋培養技術の重要性
1.遺伝子組み換え作物の問題
2.危機にさらされてるAMFの多様性
3.世界初のAMFの純粋培養技術
4.純粋培養技術を活用した、パートナー細菌フリーのAMFの作製
5.自然の恵み、菌根菌をGM作物による汚染から守るために
●第6章 菌根菌、とくにAMFの核の分取とゲノム解析への挑戦
1.なぜAMFの核は多核で多型なのか
2.分散系クロマトグラフによる核の分散とゲノム解析への挑戦
解説(詳細)
【関連書籍】
「ここまでわかった自然栽培」
「生きている土壌(新装版)」