書誌詳細情報
これからの酪農経営と草地管理

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これからの酪農経営と草地管理
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解説
化学肥料と濃厚飼料多給の高投入型酪農は乳生産量と粗収益を高めるが、生産コストが高く、所得率の低い不安定な経営になってしまう仕組みを解析し、化学肥料と濃厚飼料が減って乳量や頭数が減っても経営が成り立つ、むしろ安定化することを実証する。そのカギは、化学肥料と濃厚飼料が減ることで草や草地土壌の質が変わることで、それが健康な牛につながり、さらに良質な堆肥つくりにつながり、草地土壌に帰っていくという、いい循環ができるためである。この循環が肥料と飼料の利用率の高い、効率的な酪農経営をつくる。
著者
佐々木章晴(ささき あきはる) 1971年 北海道野付郡別海町西別原野生まれ。1996年 帯広畜産大学・畜産環境科学専攻修了。同年、富良野農業高校教諭、中標津農業高校教諭をへて、現在、当別高校園芸デザイン科教諭
目次
はじめに
第1章 現代酪農はなぜ不安定か
1 乳量が増え農業粗収入は増えたが…
2 乳量が増え農業粗収入は増えても安定しない仕組み
3 化学肥料と濃厚飼料の削減は可能
第2章 濃厚飼料が減ると経営はどう変わるか
1 草地のTDN生産量を左右するのは化学肥料と濃厚飼料
2 濃厚飼料と牛が減るとこんな経営になる
3 濃厚飼料が減ると牧草の栄養成分も変化する
第3章 刈り取り時期によって変わる草の質
1 出穂期刈りはTDN収量が増え乳量が増えるが…
2 結実期刈りは乳量が減るが…
3 乳牛の健康を考えた牧草の刈り取り時期とは
第4章 化学肥料のムダを減らす
1 五月上旬の春施肥では化学肥料の利用効率は低い
2 牧草が窒素をほしがるタイミングは五月下旬の幼穂形成期
3 五月二十日施肥ならムダなく利用される―肥料コストの削減が可能に
4 少ない化学肥料を充分使い切る
5 茎に貯蔵された炭水化物が草地更新を左右
第5章 「落ち穂」を残す精神―牧草は土壌微生物と牧草の再生にも使われる
1 牧草の枯れ草が草地を豊かにする
2 「堆積腐植層」「ルートマット」はミネラルの宝庫
3 枯れ草がつくる牧草にとって快適な環境―ミネラル層
第6章 牧草にとってよい土壌を考える―pHと窒素とミネラルだけでは土はよくならない
1 草地更新が必要な理由は雑草の増加
2 アルミニウムが増える本当の原因は?
3 更新が必要ない草地をつくるには
4 更新不要の草地が所得率の高い経営につながる
第7章 集約放牧と粗放的放牧を考える
1 集約放牧と粗放的放牧のちがい
2 「不食過繁地」からみえる適正な放牧圧
3 放牧圧が高まることによる悪循環
4 微量ミネラルから考える適正な放牧圧
第8章 化学肥料と濃厚飼料を減らした経営は可能