書誌詳細情報
宮本常一講演選集3 都会文化と農村文化

書誌詳細情報
宮本常一講演選集3 都会文化と農村文化
この本のジャンル
解説
農業・農村の近代化が求められた昭和三十年代、経営作物の転換や協同化や、農業を中心に食品加工業や商業が直結する活力ある町づくりを提言した「新生活運動」にかかわる講演から、祭りや民俗芸能など貴重な自前の文化が失われていくなかで、農村と都市相通ずる文化再興の道を説いた講演など九編の講演を収める。
著者
著者:宮本常一(みやもと・つねいち)1907年山口県周防大島生まれ。民俗学者。
編者:田村善次郎(たむら・ぜんじろう)1934年福岡県生まれ。東京農業大学大学院農学研究科農業経済学専攻修士課程修了。武蔵野美術大学造形学部教授等を経て現在同名誉教授。元日本民具学会会長。
目次
●新生活運動の前身のために
●社会生活の変貌と新生活運動
郷里から出て行った都会人
文化の片道コース
新しい村づくりの出発
要望に応える農業の知恵
「母ちゃん農業」はいけない
農村改造と小国町の試み
「酪農」が「楽農」になった
●祭りと若者
祇園祭と町衆
全国に発達する市民祭り
権力の圧迫と祭り
盆踊と玉葱
演じる者と見る者
国民という共同意識の目覚め
奇兵隊士と廃刀令
●都会文化と農村文化
明治まで町らしい町はなかった
「ふるさと」とはなにか
ガキ大将の活かされる場
祭りと市民意識
生活に主体性を持つということ
なぜ人は都会に集まるのか
大阪万博と民衆のエネルギー
縮まる田舎と都会の間
農村でない村に切り替える
●明日を信じて生きる
故郷を立派にしていくということ
明日を信ずる世界を
人が人を信頼するということ
軍備と日本の経済
鬼太鼓座の若者たち
市民の自主性をまちづくり
ひとつのことを見つめる眼を育てる
いつも思っていることはいつか達せられる
自分でおのを考える人間に
●ふるさとの心
なぜ田舎がふるさとなのか
日本の都市は仮住まい
細切れにされていた江戸時代の大分県
小藩分立と地域文化
生活基盤があったから残った民俗芸能
ふるさとの心
町村合併で進んだ中央資本の進出
祭りと新しいふるさとづくり
実りは郷土にのみ生きる
●手づくりの地域文化
集落と神の祭り
地域社会にとっての道
市民参加の新しい祭り
コミュニティづくりとスポーツ施設
輪の文化の復活
大国魂神社の太鼓講・神輿講-地域を守り育てる組織
地域社会を結ぶもの
地域文化に新しい生き方を見出す若者
●地域づくりと文化
地域住民のなかの断層
戦後日本の住まいと個人
物に占領された暮らし
ある女子高生の現象
開発が破壊につながらない百姓の精神
地域運動としての博覧会と種苗交換会
博物館づくりと地域文化
祭りを通して郷土を再認識する
●日本文化における地方の意味
田舎が戦後の都市を復興させた
欧米では一度没落した都市は復興していない
南北異質のせめぎあいが中国統一の原点
自作農を生んだ班田収受の法
経営者ではなかった地主
商工業に持ち込まれた農業経営のシステム
土豪の台頭と武家政治のはじまり
信仰を母体にした民衆のエネルギー
文武宿と河合継之助
国の停滞を破ってきた地域社会
生き生きとした地域社会への道