書誌詳細情報
合理的農業の原理 上巻

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合理的農業の原理 上巻
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解説
農業の特徴や農学と一般科学との違い、農業教育への提案も含め農業・農学の位置づけと提案。農業労働から畜力利用、使用人の使い方、経営管理、農業簿記まで経営の基礎と実際についての解説。さらに、作物栄養はフムス(腐植)であることを明らかにし、堆厩肥の施用と輪作による地力収支と循環の原理と基本、それをふまえた「三圃式」「穀草式」「輪栽式」農法の原理と仕組み方まで、自らの研究と農場経営経験に基づいて総合的、実践的に展開する。テーアの農業論、自然観と科学論、経営論、有機栄養説と地力循環論、農法論を縦横に展開。
目次
第1編 基礎編
第1章 合理的農業の概念
第2章 科学的農学の基礎
第3章 営利事業の基礎
1.主体
2.資本
3.農場とその取得
4.借地
5.永代借地
第2編 経営・農法論(エコノミー)─すなわち農場経営の諸関係、組織、管理の学
第1章 労働一般
第2章 連畜作業、役馬と役牛
第3章 手作業
第4章 経営管理
第5章 農業簿記
第6章 施肥、給飼、家畜頭数の関係
第7章 農法
1.多圃式農法
2.地目交替式農法─ホルシュタイン式、メクレンブルク式の穀草式農法
3.作目交替式[輪栽式]農法
4.作目交替・放牧式経営、すなわち輪作の原理による地目交替式経営
5.舎飼い式経営
6.各農法の相互関係
7.新しい農法への移行
8.地力と生産高、その地力消耗の相互関係に関する覚え書
解説(詳細)
●アルブレヒト・テーアとは
1752〜1828年。近代農学の始祖と言われる。自らの農場経営の実践のもと、18世紀後半から19世紀前半のドイツにあって農業生産を飛躍的に増大させる輪栽式を指導し、また農業生産の向上のためには経済行為としての自由な農業が必要として封建的な身分・土地所有関係の改革の端緒を開いた。もと医師であり、自らの農場や大学で多くの後進を育てた教育者でもあった。
●ゲーテが賞賛した「農学のアダム・スミス」
イギリスで産業革命が起きていたころに生まれた。当時ヨーロッパではマルサスが『人口論』を著して食料問題への警鐘を鳴らし、ケネーは重農主義で絶対王政を維持しようとしていたが、テーアが結婚した年にはフランス革命が起きるという政治・経済・社会・思想上の大動乱期に過ごした。
当時ドイツは40余の領邦国家に分かれた状態だったが、フンボルトの地理学やランケの歴史学など実証的な科学が続々と生まれたドイツ自然哲学の最盛期でもあった。デカルトやニュートンの機械論的自然観とは一線を画す、ライプニッツ以来のドイツ自然哲学の潮流の中で、農業という人間の労働を含んだ自然の統一的なあり方を体系化したテーアの業績は、同時代人であるゲーテも高く評価し、テーアを賞賛する詩を贈ったほどである。
●明治のお雇い外国人にも絶大な影響
テーアの代表的著作である本書『合理的農業の原理』は当時、ヨーロッパ各国で翻訳されベストセラーとなった。また19世紀後半になって近代国家の仲間入りを果たした日本の明治政府が招聘したドイツの農学者たちもテーア農学をもって日本を指導した。
●幻の本を50年に及ぶ研究でついに翻訳
しかしながら本書の日本語訳はこれまでなされておらず、国内で確認されている原著もわずか2組(九州大学、農林水産省農林水産政策研究所)で、その全貌はこれまで明らかではなかった。この度、茨城大学名誉教授の相川哲夫博士の50年に及ぶテーア研究の集大成として初の日本語訳を刊行する。
【関連書籍】
「合理的農業の原理 中巻」
「合理的農業の原理 下巻」
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