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PDF版・地域形成の原理(人間選書106)

PDF版人間選書

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PDF版人間選書

PDF版・地域形成の原理(人間選書106)

著者 農文協文化部 編著

定価 1,404円 (税込)

ISBNコード 978454E861185

発行日 2011/12

出版 農山漁村文化協会(農文協)

判型/頁数 B6(PDF) 228(13.8MB)

この本のジャンル

解説

国際化時代に向けて中央集中をはかるのではなく、地域の自然と人間に根ざした多元的中心の調和的社会をどう形成するか。農業・農村がもつ原理を掘り下げ、地域自給と地域自立の運動から新しい共同社会の像を展望する。

目次

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第1部 地域形成への視覚
1.21世紀に向けて地域を考える

2.世界経済から地域を考える
「国際化」では摩擦はなくならない
経済進出路線は反平和の道

3.自然と人間との関係から地域を考える
現代の基本矛盾
「豊かさ」のなかでの暮らしの空洞化
自然と人間の潜在能力を活かす

第2部 石筵部落にみる地域形成の原理
1.住民運動から「自給」運動へ
さまざまな「自給」の取組み
暮らしのあり方を問い直す

2.地域的自然観・人間観の再構成
地域的空間と労働の再興
地域的時間と共働の再興

3.独自な近代化の歩み
農業近代化にみる独自性
むらの「民主主義」

4.残された課題

第3部 地域形成の諸実践
1.給食教育を軸にした地域教育運動-京都府熊野郡久美浜町川上地区の実践
給食教育を軸に
地域の実態に即した教育運動
小学校は地域のセンター

2.婦人が担う地域自給運動-秋田県由利郡仁賀保町農協の実践
広がる自給運動
なぜ、自給運動か
地域社会のあり方と自給

3.老人による地域活性化の取組み-島根県鹿足郡日原町農協の実践
技と知恵を生かす農協老人部
老人の力を生かす農協

4.食べものをとおして地域を変え都市を変える-大分県下毛郡下郷農協の実践
農畜産加工のもつ意味
自給の延長としての産直
むらの生活センターとしての農協

5.地域形成と農協の役割
担い手としての第二種兼業農家と婦人・老人
日本型農協の独自性とその積極的意義

解説(詳細)

 「まえがき」より
 産直運動や有機農業運動がしだいに定着する一方で、いま農村の自発的な動きとして、伝統的な農産加工や自家菜園を見直す「自給運動」が静かに広がっている。
 「運動」といっても、それほど大げさなものではなく、農家の母ちゃんやお年寄りが自家用に野菜や漬物などをつくり、あまれば少々販売をするといった程度のものがほとんどである。
 そんな地味な動きであるが、この自給運動の意義は決して小さくない。それが地域の自然と農業・食生活とのつながりに気づくきっかけとなるからである。高度経済成長からこのかた、このような動きはほとんどなかったのでないか。そして都市の市民運動と農村の自給運動が響きあうとき、それぞれの運動は「暮らしやすい地域づくり」という、より高い次元に到達するのではなかろうか。
 いまや、農村でも、よそから買ったものを使って農業や食生活を営む流儀がすっかり定着してしまった。しかし、もともと暮らしの土台は地域地域の自然にある。山があり、そこから川が流れでて、田や畑やむらをうるおす。四季は地域ごとにちがっていて、こうした個性的な自然の上に独自の暮らが営まれてきた。この自然の仕掛そのものはいささかも変わっていない。変わったのは、その自然を人々が顧みなくなったことである。この変わらぬ土台の上に、現代の文明を生かして、それぞれの地域の新しい個性を形成していく運動ができないものか。ささやかな自給の広がりのなかに、こうした地域形成運動の芽をみるのは無理なことだろうか。
 その可能性についての確信と具体的なイメージを与えてくれたのは、福島県郡山市石筵(いしむしろ)部落の人々との出会いであった。住民運動をとおして水や水路の価値に気づいたこの部落の入々は、山の単相化や農業の大規模化のゆきすぎを反省し、さまざまな自給運動をとおして、地域の自然との回路を今日的に修復しようとしているようにみえる。そして、この営みの原動力となっているのは、人々のうちにいまもいきづく個性的な時空観であり、暮らしのなかで共同性を培ってきた伝統なのである。
 急速な産業社会化のもとで、こうした地域独自の文化は著しく弱められ、無機的な都市文明が肥大していった。大都市に住むかぎり、うっかりすると自分たちの暮らしが自然によって支えられていることすら忘れてしまうほどである。そして工業の論理・都市の論理は日本の農村を押しつぶしただけでなく、国境を越えてよその国の自然と文化までも壊そうとしている。
 私たちは否応なく産業社会の中に身をおき、その恩恵に浴して暮らしている。その事実は否定できないが、産業社会のなかで生計を立てながらも、その押し着せでない部分を地域のなかで少しずつ広げていくことはできる。本書でふれる石筵やその他の地域の運動は、この困難な道の可能性をさし示しているようにみえるのである。
  昭和六十二年一月
  農文協文化部

*文中、石筵部落の方々のお名前は原則として仮名にさせていただいた。

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