書誌詳細情報
むらと原発 窪川原発計画をもみ消した四万十の人びと

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むらと原発 窪川原発計画をもみ消した四万十の人びと
この本のジャンル
解説
3・11以降、「原発計画を止めた町」として全国から再注目を集めた高知県窪川町。第一次産業を中心とした地域づくりに取り組んできた町に、国策共同体が突如建設計画を持ち込むが、町長解職、住民投票条例可決といった8年間の「もみあい」の末、町議会は「原発問題論議の終結宣言」を可決するが、住民投票はあえて実施されなかった。本書は原発騒動の渦中のみでなく、騒動のはるか以前から、さまざまな問題に直面し、格闘し続け、騒動終焉後も格闘してきた農林漁家の人びとの歴史と「多数決を最善としない」むらの民主主義を語る。
著者
明治学院大学教養教育センター准教授。2003年東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻(文化人類学)修士課程修了。2003年〜2006年 日本学術振興会特別研究員(DC1)。2006年 東京大学21世紀COE 共生のための国際哲学交流センター 特任研究員。2007年 東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻博士課程 単位取得満期退学。見沼田んぼをフィールドに、「環境福祉」や「社会的排除/包摂」を理論的に探求しながら、現代社会における「ボランティアの政治学」の構築を目指している。一方で、「障害」、特に「自閉症」概念の歴史的構築過程について、科学技術社会論の立場から研究。「耕しながら考えること」を常に心がけている。【専門分野】ボランティア学、文化人類学、環境社会学、科学技術社会論。見沼・風の学校+見沼田んぼ福祉農園事務局長。
目次
序章 ムラ、むら、邑
1、問いの所在
2、原発事故後の窪川にて:ムラに流着すること、ムラに土着すること
3、原発推進‐反対の二分法を越えていく論理
4、「邑(むら)」と言う視座:原発騒動以前への視点
5、この本の構成
第一章 窪川原発騒動の顛末
1、原発騒動の始まり
2、窪川町長、藤戸進
3、窪川原発反対運動
4、町長リコールから町長選挙へ
5、勢力伯仲の中で
第二章 窪川のむらざとにて:人々の生業
1、伊方:ミカンと原発から考える
2、戦後の農政と、窪川農業の展開
3、原発反対運動に参加した農民たちの生業戦略
4、窪川農村開発整備協議会
5、小括
第三章 語りと余韻:島岡幹夫と邑の断片
1、島岡の語り
2、原発騒動まで
3、コバルト照射と母の死
4、谷脇溢水の合流
5、志和
6、谷渕隆明と方舟の会
7、島岡の引力と、その余韻
第四章 邑の象徴:野坂静雄とその精神の遍歴
1、四万十川と地域史的個人としての野坂静雄
2、タービン技術者として
3、窪川町執行部時代の野坂
4、窪川農協組合長就任まで
5、ふるさと会会長野坂静雄
6、野坂の死
第五章 原発計画をもみ合う、原発計画をもみ消す
1、「むら」ということ、「邑」ということ
2、土地基盤整備事業:国策共同体に抗するむら
3、もみ合う邑:住民投票条例の制定と温存する知恵
4、全会一致ということ:原発終結宣言
終章 結びとして
1、鶴津:沈黙する核心
2、呼びさまされる記憶:戦後開拓
3、人びとの中にある歴史:地域史―世界史―個人史
あとがき
解説(詳細)
【関連書籍】
「日本の村―小さい部落―」
「むらの原理 都市の原理」
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