書誌詳細情報
イネの高温障害と対策

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イネの高温障害と対策
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解説
2010年9月14日,新潟県地元新聞の記事は全国に衝撃を与えた。「本県産こしいぶきの1等米比率が現段階で12%にとどまっている。(中略)記録的な猛暑が原因で、主力のコシヒカリの品質低下も懸念される」。その懸念は現実となった。地球温暖化が進むなか,高温登熟をどう克服するかは焦眉の課題である。 本書は,稲の高温登熟障害が発生するメカニズム,それに対する対策を,これまでの研究成果をもとに徹底追及し,温暖化のなかで構築しなければならない新たな稲作を展望するための貴重な一冊である。
著者
■著者紹介
森田 敏(もりた さとし):1962年 東京都に生まれ。北海道大学農学部農学科卒業。農学博士。現在,(独)農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター水田作・園芸研究領域 上席研究員・水稲高温障害プロジェクトリーダー。
目次
第1章 登熟障害は何を語りかけているのか
1.私が米の登熟に注目するわけ
2.日本の米作りの歴史は登熟障害との闘いであった
3.作物学的にみた登熟障害研究の重要性
第2章 近年の高温登熟障害の実態
1.「日照りに不作なし」はなぜ通用しなくなったのか
2.西日本の登熟不良の要因を探る-収量構成要素からの視点
3.九州の登熟不良と気象条件の関係
第3章 登熟期の高温でイネに何が起きているのか
1.玄米の白濁化
2.玄米の充実不足
3.胴割粒の発生
4.高温障害はなぜ食味の低下を引き起こすのか
5.高温による不稔の発生
第4章 地球温暖化の影響
1.気温上昇の様相
2.気温以外の気象要因の変化がイネの登熟に及ぼす影響
3.気候変動の拡大
第5章 高温障害の対策を考える
1.対策を四つの視点から考える
2.高温回避・予防型
3.高温回避・治療型
4.高温耐性・予防型
5.高温耐性強化・治療型
6.出来秋に米を見ること
第6章 高温登熟障害を克服する今後の研究展開
1.登熟メカニズム研究の深化
2.高温登熟障害と他のコンセプトとの結合
3.現場のニーズに応える「革新的技術」の開発
解説(詳細)
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